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カズキ&斗貴子編

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Part39 139 名も無き萌戦士


風邪を引いて寄宿舎の自室で寝込んでしまっている斗貴子さん。
みんなもお見舞いにかけつけます。

ケホッケホッ
カ「大丈夫、斗貴子さん?」
斗「あぁ、しかし風邪で寝込むなんていつ以来か…。」
ま「まかせて!何を隠そう私は看護の達人よッ!」
ち「津村先輩、お粥です!」
さ「レモネードもいいですよ」
六「風邪は病名じゃなくて症状名。使い分けない人、多いよね。」
大「保健室まで運ぼうか?」
剛(熱で目がうるんで頬も赤らんだセンパイ…イイかも!ポッ)

斗「本当に大した事はないから」
カ「そうかなぁ…結構熱があるんじゃない?」
おでこにおでこをくっつけるカズキ
斗「!? こ、こら!イキナリ何を!私にも心の準備というものが…」(///)トキュトキュ

ま「じゃ、私たちは戻るけど、何かあったらナースコールを押してね」
岡「自作!?」

斗「どうした?キミも戻れ」
カ「一人で大丈夫?」
斗「何を言ってる。私はずっと単独で任務を果たしていたんだぞ。」
カ「わかった…でもムリしないでね」
斗「あぁ、ありがとう」

まだ心配そうに振り返りながら出ていくカズキ

― そう、私は錬金の戦士。
たとえ苦しくたって、どんなに辛くたって一人で対処できて当然だ…

当然だった…

当然だった……のに…?

今はどうして一人がこんなに寒いんだ?

誰か…。

誰か……か…

「カズキっ!」

カ「ごめん、起こしちゃった?」
斗「カズキ?」
カ「どうしても心配だったから、寮監の見回りをやり過ごしてからきたんだ」
斗「カズキ…」

(あぁ、暖かい…まるで陽光に包まれてるようだ…)

カ「あ、ゴメン!俺、斗貴子さんの手を握りっぱなし…(///)」

斗「なぁカズキ」
カ「?」
斗「私はキミを…キミの事をずっと…」
カ「………」
斗「ずっと………窓の外から覗いている変態仮面が気になってるんだが、ぶち撒けていいな?」
カ「!?」

このあと宙に浮く変質者の目撃やカズトキのヘビイチゴ疑惑で寄宿舎は騒然となったとさ



Part39 150 名も無き萌戦士


ケホッケホッ
「斗貴子さん大丈夫?」
「あぁ、しかし風邪で寝込むなんていつ以来か…。」

…しーん…

「…普段ならば「まかせて!何を隠そう私は看護の達人よッ!」なんて君の妹が来る頃だと思ったのだが…?」
「あ、まひろなら六枡達と一緒に駅前に買い物、薬とかホカロンとか買ってくるって。
 そういや、斗貴子さんが寒くない様にってブラボー財布に服も漁ってくるつもりみたい。
 『何を隠そう私はトータルコーディネートの達人よ!』って張り切ってた。」

ぱたっ、と起き上がっていた上体を布団に戻す斗貴子さん。
「そうか…カズキ、君も行ってくれば良かったのに。
 こんな風邪、わざわざ看病に残る程でも無い。でも、感謝する。」

斗貴子さんが笑みを見せるのに対しカズキの顔は何故か少し暗い。
「ね、斗貴子さん、俺と出会ってからのいままで…銀成市でのごたごたがずっとあってさ…
 斗貴子さんの任務がずっと続いてた。それもこんなキツいのが…」

少し思案する斗貴子。
「あぁ、そうだな…確かに、これまで無かった試練の連続だ…だった。
 一連の事件は終わったんだ。だからこうして風邪も引ける。」
「俺、斗貴子さんに感謝してる、あの時命を救って貰ってから色んな事があった…」

頼りなげな視線は宙を舞って、今までの事を思い出し喋っている。
(何だ、何が言いたいんだ?)

伸びた爪は自分の膝を掻いて、脇腹をさすったかと思うと、
それ以上上に行かず何処かに触れるのを怖れる様にまた膝の上に戻る。

「任務の、せいじゃないかもしれない。」
不意に、カズキから口を衝いて出る言葉。
「風邪、斗貴子さんが弱ってたせいもあるかもしんないけど、もしかしたら…」

カズキが、震える手で胸元を掴んでいる。左の、胸元を。

(…あぁ…この子は…)
得心した表情をする斗貴子さん。
(そうか、私の風邪が自分が起こしたエネルギードレインのせいかもしれないと考えているんだな…
この子は、ずっと怖れていたんだ、自分が換わるより、誰かが換わってしまう事が。)
(命の責任を負う事は、怖い。でも、戦士同士だから、分かってるハズだぞ、カズキ。
 私が君のせいで死んでも、誰のせいでも、君のせいでもない。割り切るんだ。
 だから、嬉しい。君は君なりの割り切れない「特別」を私に対し持ってくれているのだな…)

「もしかしたら!」
口元にしっ、と人差し指を立てて静止する。
「…カズキ、私はお腹が空いた。」
「へ?」
「カズキ、思い出話も良いものだが、それではお腹が膨れない。パシってやるから早く何か買って来い。」

何故だかちょっと普段の斗貴子さんらしくない。
「え、あ、うん?…斗貴子さん何が良い?」
「アイスが良い。私は…アイスが好きだ。特にストロベリーが。」
「アイス?風邪引いてるのに?体、冷やさない?…っていうかまひろが怒る。きっと。」
「君の妹が怒るか。それは困るな。じゃあ…カズキ。秘密にしよう。」
「ひ、秘密?」
「そう、カズキ、私がストロベリーが好きだと言うのは、私と君だけの特別の秘密、だ。」
 いたずらっぽい笑みを浮かべてウィンクする斗貴子さん。
 やっぱりらしくないがカズキには効果覿面、カァッと赤くなって硬直してしまった。

 買出しにパシらせて出て行くカズキの背中を見やりながら、思う。
(私には、君に対する特別なんてこれくらいしか作ってやれない。
 誰かを特別に思えるなんて、これくらいしかしてやれない。)
ため息をついて柔らかな日差しに眩しげに目を向ける。
(私もいつか、思ってくれて嬉しいじゃなくて、思って欲しい、と望む様になるんだろうか。)
 そんな事は、私には縁遠すぎて逆に笑ってしまうな、そうひとりごちてしまうのであった。
 少し顔は赤らんでいたかもしれないけど。



Part39 155,156 名も無き萌戦士たち


斗 「カズキ、風邪の具合はどうだ?」
カ 「ゴホゴホ・・・うん、なんとか。」
斗 「今朝から何も食べてないくせに、なんとかも
   なにもあったもんじゃないだろう。・・・・よし、私が何か
   作ってやるから、ちょっと待ってなさい」
カ 「・・・うん、ありがと、斗貴子さん」


斗 (しかし困ったぞ・・・・・・いくらなんでもおにぎりは受け付けないだろうからな。
   …そうか、風邪といえば玉子酒、だな。私でも、それなら作れそうだ。
   そういえば玉子酒って、ただ酒と玉子を混ぜれば出来上がりなのか?
   よく解らんが、作ってみるか。・・・・・・できた!ちょっと味見してみるか。 グビッ  酒が足りないな。
   もうちょっとお酒を足してみるか・・・ グビッ  うーんまだお酒が足りないなー・・・)

   
  半刻後。

斗 「カァーズキィ!わらしたまござけなんかつくれないーーっと!」
カ 「と、とと 斗貴子さん!? …うわっっお酒臭い!!」
斗 「やめ、やめ!たまござけは止めーー!たまござけなんかより、もっといいことかんがえたぞー!
   ききたい?ききたいだろ?!」
カ 「うん・・・一応聞いておく…(泣)」
斗 「ききたいー?フフフ、それはなー、・・・おたがいのカラダをあたためあえばいいんだ!
   みーんな、そーゆーほうほーでなおしてるんだぞー戦士はっっ!!」
カ 「・・・・・・・・は?」
斗 「さー善はいそげ!カズキー脱げっ!ってか脱がしちゃうー ガサゴソ」
カ 「う、うわ、ち、ちょっと斗貴子さん!ちょっと待ってってば!!」

     ガラッッ

カ・斗 「!!」

ブラボー「戦士カズキ、風邪を引いたとはブラボーじゃないな。体調管理も戦士の大事な役目だぞ!
      だが説教は置いといて、特別に俺がブラボー特製玉子酒を作って・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・悪かった、邪魔したな」

カ 「あああぁーーー待ってブラボォォーーーーー!!!!!」
斗 「せ、戦士長!!聞いてください、これには訳が!!!!」←酔いが醒めた
ブ 「いや、何も言わなくていいぞ戦士斗貴子・戦士カズキ。
   俺も千歳と、久しぶりに長電話でもするとしよう、じゃあおやすみ!」
カ・斗「・・・・・・・・。」


「〜〜〜〜〜〜〜〜〜(////)」
ブラボーが去った後、恥かしさのあまり穴があったら入りたい斗貴子さん。
しかし寄宿舎の床を掘るわけにはいかないので窓から逃走しようとしたところ、
ぐいっ!!
「ここにいてよ、斗貴子さん」
「は、離してくれ! あんなはしたないことしてしまって…」
「斗貴子さん、オレ寒いんだ。あっためて」
「…!!! さ、さっきは嫌がってたじゃないか!」
「そーいうコトは、酔っ払って訳わかんなくなってる斗貴子さんじゃなくて、
 ちゃんとオレのこと好きでいてくれる斗貴子さんとしたい。……ダメ?」
「…………………(コクン)」

風邪のせいだけじゃなくて真っ赤なカズキの言葉にとっきゅんは頷いたのでした。



Part39 167 名も無き萌戦士


斗「カズキ。ほら、薬だ」
カ「…ゴメン、飲めない…」
斗「何を子供みたいなコト言っている。早く飲むんだ!」
カ「…でもこの薬、味が酷くて…前に飲んだとき、死ぬかと思ったくらい」
斗「不吉なことを言うんじゃない。…仕方ないな…」クイッ
カ「…え?何で、斗貴子さんが飲」

…ん…

斗「ゲホ…確かに酷い薬だ…しかし、これなら飲まざるを得ないだろう?」
カ「…確かに、飲めたけど…ゴメン、斗貴子さんをこんな辛い目に遭わせちゃうなんて…」
斗「構わない。早く元気になってもらいたいし、キミの苦しみを、少しでも知りたかったしな」
カ「…ありがとう、斗貴子さん」

斗「カズキ…」
カ「何?」
斗「…薬が必要になったら、いつでも言うんだぞ(///)」
カ「…ウン(///)」



Part39 186,187,188 戦士・ヘビイチゴ


〜戦士だってにんげんだもの〜

夏休みまであと少し。
L・X・Eとの大きな戦いが終わり、戦士としての活動が一息ついた時期の話だった。

あの戦いの後も、カズキは変わらず元気だった。
斗貴子さんは、もしかしたらカズキは元気を保とうと無理をしているのではないか?と心配もしたが
カズキは元々周囲に元気を振りまく事を苦としないタイプだった事もあって
自然とまたいつもの日常に戻っていったようだった。

二人の戦いの傷も癒えてきて校舎の修復も一段落つき、周囲も少しずつ落ち着きを取り戻しつつあった、ある日のことだった。

「カズキ…キミはこれからも戦士としてやっていくのだろう?」
「もちろん、そのつもりだよ。しばらくはブラボーに言われた通り、活動は再開できないけれど」
「ん…ならその間、体力を維持するだけの鍛錬はしておかなくてはな。…あまり核鉄に負担をかけるのはまずいが」
「大丈夫!無理に武装錬金を発動させないようにすれば、基礎的な運動くらいなら何とかなると思う」

ぐるぐると腕を回して笑ってみせるカズキ。
相変わらずというか何というか…元気な様子を見せる彼の様子を見て、自然と斗貴子さんの顔も緩む。

「なら、私と一緒にトレーニングするか?放課後になるが」
「え、斗貴子さんと二人で?…(ぽわわ〜ん)…(///)…やる!やります!」
「…キミ、今変なコト考えたりしなかったか?」
「し、してないよ!大丈夫、実は何を隠そう俺は」
「…わかったわかった」

こうして放課後、カズキは斗貴子さんと一緒にトレーニングをするという日課が出来たのだった。
実は斗貴子さんにもカズキに関する戦団からの簡単な指令が届いており、その流れも汲んだ上での提案だった。

(…戦士長からも言われているしな…カズキから目を離さないように、と。しばらくはお目付け役、といった所か…)

カズキの元に、いつもの見慣れた顔ぶれが寄って来て話しかけてきた。

「おーいカズキ!今日の放課後空いてるか?」
「あ…ゴメン、今日はトレーニングなんだ」

一瞬の間。

「…ほう、『トレーニング』か」
「『トレーニング』じゃ仕方ないよね」
「そうか、『トレーニング』ってわけか。しっかりやれよ」
「…何か引っかかるような言い方してない?」

どうもみんなの冷やかすような、それでいて暖かい眼差しという
微妙に複雑な視線が気になって思わず聞き返すカズキ。

「い〜や?別に?」
「…岡倉、リーゼントがピンと張ってきてるぞ?…もしかして怒ってる?」
「いや、それなら仕方ないと思っただけだぜ?…『斗貴子さん』と一緒にトレーニングじゃなぁ」
「…おい、岡倉」
「ん、『斗貴子氏』を待たせるなよ。早く行って来い」
「…六枡?」
「頑張ってね、トレーニング。『斗貴子さん』によろしくね」
「…大浜…あの、ちょっとお前ら?」

『じゃ〜な〜』すったかたったったー

「な、なんか誤解してないかー!おぉーい!!(///)」

妙な気を回されたような感じで、むず痒くなるカズキ。
イチゴの親株から何本ものツルが伸びていくが如し。まぁそんな感じで、クラス中に良からぬ噂は広がっていくのであった。


そんなこんなで、二人でトレーニングをしていたある日の事だった。

「いいぞカズキ…もう一踏ん張り、こいっ!」ギッシ、ギッシ、ギッシ
「フッ!…フッ!…んぬっ!……んんっ!………んあぁっ!!」
「あと10回だ、追い込んでこい!」ギシッ、ギシッ、ギシッ
「フッ!…クッ!…ウッ!…だぁーっ!!………ハァ、ハァ、ハァ…!」

やがて精根出し尽くしてガクッ、と倒れ込むカズキ。コレ腹筋ですよ。コレ腹筋ですからね。

「よし、1分休憩!次は背筋…だな。今の内に腹を伸ばしておくんだ、カズキ」
「ハァ、ハァ、いやこれきっつ、ハァハァ…ふうー」
「ラクなトレーニングなんて鍛錬にならないだろう」
「…ごもっともで…」

ふと息をついていて、カズキは自分の足を押さえてくれている斗貴子さんの手が妙に暖かい事に気が付く。
暖かいというより…コレは、熱い?

「…斗貴子さん?」
「なんだ、カズキ」
「…ちょっと、その顔よく見せてくれる?」
「な、なにをするカズキ?おい、やめ…(///)」クラッ

カズキの顔が正面に迫ってくる。斗貴子さんの目に飛び込んでくる、カズキの真摯な瞳。それも、こんなに近くで。
しかし、斗貴子さんの頬がほんのりと朱に染まっていた理由はそういう事ではなかった。それより前からだ。

「…熱がある」
「なんでもない…昨日から少しボンヤリしてはいるがただの風邪だ…」
「ダメだよ斗貴子さん!早く戻って安静にしていないと!」

言うが早いか斗貴子さんを背に担ぐカズキ。

「ちょ、こらカズキ!(///)降ろせ!一人で歩け…(ぐわ…ん)あ…」
「ダメ!いつも『私のことはいい』とか言ってるのに、それでオレが無理させたんじゃ悪いよ!」
「だから、歩けるって…(くらくら)」
「いいから!とりあえずオレの部屋に運ぶ!安静にしないと…いいよね!」

こうなったらカズキに何を言っても無駄だ…薄れゆく意識の中で、斗貴子さんは観念した。

「わかった…よろし…く…」

その言葉を最後に、斗貴子さんはカズキの背で眠りに落ちた。


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